完璧なスポンジと生クリームでも、苺が美味しくなかったらそのケーキの印象は悪くなってしまうのがショートケーキの宿命。タルトの美味しさでひそかな人気のアラボンヌーでは、「国産苺のショートケーキ」と名づけられ、その時期に一番美味しい苺を使用しています。苺の美味しさもさることながら、こちらはクリームにも独特の旨みがあり、とっても美味しい!狭い商店街の路地を入ったところに突然登場する可愛らしいお店はまさに赤坂にあるパリ。シャンデリアの下でフルーツいっぱいのケーキを選んでいる時間は至福の時間です。
また、甘くて大ぶりの苺につい目がいってしまいますが、実際に食べてみると程よい酸味のある苺によって、他のパーツの甘さを引き立て、全体を一緒に食べて初めてわかる美味しさを知りました。パティスリーTadashi Yanagiでは、小粒で酸味の強い苺が、甘めのスポンジとクリームとあわさって本当によいバランス。デコレーションのザクロもおしゃれな印象を与えています。
最近ではフランス版ショートケーキとも言えるフレジェを作るパティスリーも増えた為、アーモンドを多く配合した香り高いしっとり、さっくりしたスポンジもスポンジの一種として定着してきたようですが依然として人気の高いふんわり優しいスポンジ。リリエンベルグはクリームに対し、スポンジの割合が多いようですが、きめ細かく絹のようなスポンジが抜群の味わいで、口に含むと、軽いのに味わい深い生クリームとあさわって一瞬でとろけるよう。さすがリリエンベルグ!の一品です。
一方で、しろたえのように、昔ながらのカステラのようなしっかりとした重みと甘さのある生地のショートケーキも。シロップ代わりに苺ジャムを塗ることでより苺の風味を感じます。定番のレアチーズケーキと一緒に年配の方へのお土産にしてもとても喜ばれそうですね。
またお店によってスポンジが3段のものもあり、3段になると「どーん!」と豪華な印象。今回試食した中ではベルグの四月とSATSUKIが3段でしたが、スポンジとクリームのバランスがそれぞれ軽く、口どけもよく大振りな割にはあっさりと美味しいので一つ、ぺろりと食べられます。お店が公園のすぐ横にあるベルグの四月。
購入してすぐに外の緑の下でケーキをほおばるのも楽しそう!
SASTUKIでは、1つ1575円もする最高級の素材をふんだんに使用したショートケーキも有名ですが、通年で人気商品のこの「苺のショートケーキ」でも十分大満足の美味しさ!
また、アンリシャルパンティエは薄い生クリームのコーティングに苺が3つもデコレーションに使用され、無駄なものはなくスタイリッシュなショートケーキ。都内では多くのデパートの地下に入っているお店なので、こんなにおしゃれなケーキが買いやすいというのも嬉しいですね。大人っぽい外見に、味わいも甘さ控えめであっさりとしているので、男性にも喜ばれそう。
また、ショートケーキの味わいの大きな決め手となるクリームに工夫を加え、一味違うショートケーキを作るお店も。グラマシーニューヨークの「グラマシーニューヨーク」は生クリームの代わりに、日本ではまだあまりなじみのないクレームドゥーブルを使用し、生クリームでは出せないこっくりとした濃厚な味わいです。ケーキの上にも贅沢にもたっぷりとのっているので甘いもの好きの人も大満足できるはず。
パティシエタカギのショートケーキはきめ細かいスポンジと多目の甘い生クリームと、大粒の苺のバランスがとても美味しく、素直で直球勝負という印象をうけました。試食した私たちの間でも全員がそろって「美味しいし食べやすいね」と口を揃える、誰にでも好かれる優しい味わいです。
そして、シェフの人柄や確かな技術が伝わってくるデフェールのフレーズ。ふんわりときめ細かいスポンジ、口に入れた瞬間にスーッと溶けていくクリームに、薄くしのばせたカスタードクリームが絶妙なバランス。上にのったハート型の苺の可愛らしさといったら! 美味しさと可愛らしさが同居した、私たちみんなが大好きなショートケーキです。
今回ショートケーキをたくさん食べてみて、シンプルな構造の中に、シンプルだからこそのこだわりが随所に感じられました。それぞれのパーツ、そして全体を一緒に味わった時のバランスにパティシエの個性や創意工夫が感じられます。いつまでも懐かしい味わいと外見でいてほしいと願うと同時に、これからどんな風にその中身が進化していくのかメンバー一同本当に楽しみです。
春です。苺の最高の季節に皆さんもショートケーキを楽しんでくださいね。
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