ティエリー・ミュロップト
フランス北東部、アルザスが誇るスイーツ界の芸術家、ティエリー・ミュロップト氏による2006年講習会が10月24日、タカナシ乳業主催の下、ドーバー洋酒貿易会場で行われました。
パン屋さんの息子として生まれ、幼い頃から職人である父の背中を見て育ったミュロップ氏。
15歳の時にパン、お菓子の勉強を実家で2年学び、その後パリへと拠点を移して「ダロワイヨ」、「トゥール・ダルジャン」などで活躍しました。アルザスでは「ジャック」、「クリスマン」では本格的にシェフパティシエとしての才能を発揮。その実力から、国内外で数々の賞を受賞しています。
その彼が生み出すパティスリーの特徴は、革新性と創造性。風味はエレガント且つ個性的。視覚的には彼の、センスある独特のカラーが溢れています。
元々の才能に加えパリの美術学校で学んだものが、作品を更にグレードの高いものにしています。
≪新しい感性と共に、伝統的なアルザスのエスプリを同時に感じられる≫
そのような素晴らしいパティスリーが認められ、2003年には、世界のトップパティシエ集団『ルレ・デセール』の会員に選ばれ、更なる活躍をされています。
今回はタカナシ乳業の素材を使い、7種類もの作品を紹介してくれました。
どのお菓子も乳製品の良さを引き出しているものでしたが、中でもフロマージュブランを使った≪Chic…Ago≫という作品が印象的でした。
土台にピスタチオのブラウニー、中にはシナモンを中心としたスパイスが効いた、杏のチャツネ。それらをフロマージュブランのババロアがふんわりと包んでいます。強い香りのパートと組み合わせても、フロマージュブランの爽やかな乳味と香りはしっかりと息づいていました。
このケーキは、昔シカゴ周辺へ移住したアルザスの人々への想いを馳せた事から、アメリカ(ブラウニー)・フランス(スパイスやフロマージュブラン)双方の特徴的素材を組み合わせて考案したそうです。
その他にも、バターの香りが芳しい≪ブリオッシュ・ア・ラ・カネル≫や、≪ブリオッシュ・ア・ラ・クレーム≫もシンプルだからこそ、素材の良さが引き立つお菓子として心に残りました。
今回の講習会、最大の特徴と言えるポイントとして、ワイン鑑定士の資格も持つミュロップ氏は『それぞれのお菓子にそれぞれのお酒を併せる』という紹介をしてくれました。
ショコラとお酒のマリアージュは今日でこそメジャーなものとなりましたが、粉を使ったお菓子などにも各々併せるというのは、斬新且つ新鮮な驚きを受けました。
例えば、≪Chic…Ago≫にはアルザスワインのリースリング(2001年)、≪ブリオッシュ≫には自家製のミルクリキュールなどです。(タカナシの濃縮乳とアルザスのキルシュ、バニラ風味のシロップを合わせたもので、キリリとした香りと柔らかさを感じたリキュールでした。)
どのワインもお菓子の風味を邪魔することなく、また香りも負けることなく調和されていて、アルザスのミュロップさんのお宅で、おもてなしを受けているような気持ちになりました。
アルザス・ジョスメイヤー社のワイン URL : http://www.josmeyer.com/
講習の始めと終わりに日本語で挨拶してくれたり、合間にアルザスの歴史や習慣などを織り交ぜながらお話してくれたり・・・。最後はマジパンでサンタさんをつくってくれるなど、お茶目な一面も垣間見られ、私達を楽しませるだけでなく、ご自身も楽しんでおられる姿が印象的な講習会でした。
タカナシ乳業の皆さんや、アシスタントの方々とも息の合ったデモンストレーションを見せてくれました。
★耳より情報★
アルザスでしか味わえない、ティエリー・ミュロップさんのチョコレートが伊勢丹新宿店にて、期間限定で開催される『サロン・ド・ショコラ』(1月下旬頃)でお求め頂けます。
Text : Caramel.
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