日本でも、年始からガレットデロワを販売するお店が年々増えてきています。食べ比べてみると各店のこだわりや個性が感じられました。
中でも、箱から出したときにダントツの美しさで私たちが思わず声をあげてしまったのが「パティシエシマ」のガレットデロワです。美味しそうな焼き色にはっきりとした模様が見事でした。
大きさもさることながら、厚さも一番で、食べごたえのある一品でした。
「デフェール」のガレットデロワも切り込み模様の緻密さ、美しさに加え、焼き色でキラキラと輝いていたのが印象的です。デフェールは賞味期限を焼き上げたその日に設定していました。パイのサクサク感が最高の状態で食べてほしいというシェフの気持ちが伝わります。中のクレームダマンドはとてもしっとりし、少し個性的な香りがしたのは、イタリア産ギルジェンティ種アーモンドを使用されている為でしょう。
「トシヨロイヅカ」のガレットデロワは、今回のガレットデロワのラインアップの中では一番こぶりでしたが、パイの香ばしさ、口どけのよさが印象に残りました。ごく薄いフィユタージュの一枚一枚が、サクサクとミシミシをあわせたような食感で、間に入り込む空気量が少ないのに決してべたついてはいないのです。
フランス菓子の第一人者であり、日本を代表する洋菓子店の「オーボンビュータン」のガレットデロワは、食べた瞬間にバターの香りを最も強く感じる一品でした。どっしりと重い印象は、フランスの伝統菓子そのものという感じを受けました。
そしてこの日の朝、受け取りに行ったときにちょうど焼き上げたばかりで、箱を開けたまま渡していただいた「エーグルドゥース」のガレットデロワは焼き上げて、まだ数時間しか経過していないのに、洋酒の効いたアーモンドクリームは驚くほどしっとりとし、パイはさくさくでした。また、大きさの割りに、お値段が手ごろなところも嬉しいです。
「ピュイサンス」は、表面がパリパリと飴がけされているようでつやが美しく、硬く、中のクリームの柔らかさと合っていました。
「イナムラショウゾウ」のガレットデロワは、中のクリームがアーモンドクリームにカスタードクリームを合わせたフランジパーヌを使用していたので、やわらかく、卵の風味が効いていて、小さな子供からお年寄りまで、日本人が食べやすい優しい味わいでした。パイの方にもしっかりと塩味がきいていました。
今回唯一、パティスリーではなく、ブーランジェリーの「ビゴ」。 今回試食した中で、他のどこよりも、フィユタージュにバターよりも粉の魅力を感じたのはやはり、パン屋さんだからでしょうか。つやこそありませんが、模様のはっきりとした、どっしりと堅実な印象のガレットデロワ。
また、最近のガレットデロワではピスタチオやへーゼルナッツのクリームを使用をするなど、アレンジしたものもよく見かけるようになりました。そういった中で今回は「ジャンポールエヴァン」で限定販売しているチョコレートのガレットデロワを試食しました。上にカカオニブが散らされ、ココア味のフィユタージュは驚くほど、サクサクと口溶けがよく、チョコレート風味のへーゼルナッツを使用したクリームのバランスは「さすが」と思わせてくれるものでした。
「サダハルアオキ」の抹茶のガレットデロワなど、日本ではガレットデロワのアレンジが今後もたくさん出てくるようです。
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