幸福なスイーツ・ライフ
情熱は神秘の世界の扉を開ける最も重要な力、何度とない探索と追求の下、世界はその豊潤で美しい姿をあなたの前に見せるだろう。
坪井ユミコにとって世界はまさにこのように見えているはずだ。もともとはただのスイーツ好きな女の子、しかしスイーツを本当に愛するが故、たくさん食べ、まじめに食べ、その食べ方を理解し。友人たちの励ましの下、TVチャンピオンの甘味王選手権に参加した。そして、数々の強敵たちとの激烈な競争の中で三度もチャンピオンの座に輝いたのだった。
TVチャンピオンに関して坪井はこう語る。「番組は一時間半しか放送されないけれど、実際の撮影は連続数日間、朝早くから深夜まで続く、時によっては次の日の朝までということも。本当はとても大変なんです。番組としての面白さを追求するため、番組制作チームが考え出す対戦方法は、時には体力を相当必要とすることも。臨機応変さと、そして運によって決勝まで行けるかが決まると言っていいでしょう」。食べるのがあまり速くない彼女、出されたものを食べきってからでないと解答できない対戦では、かなり辛い思いもした。最も辛かったのは、三日連続の撮影が終わり、やっと決勝戦に進んだときのこと。その時の対戦相手も、かなりの強敵で、番組が用意した問題が全て出終わった後でも、まだ決着がつかなかった。時間はもう明け方近く、番組制作チームは仕方なく、その場で考えついた問題で対戦を継続した。坪井は、その時を振り返ってこう語る。「その時の私はもう既に精力を使い果たし、もうチャンピオンになれるかどうかなんて、まるで頭になかった。ただ家に帰りたかったんです」
TVチャンピオンで甘味女王の座に輝いた後、坪井の人生は新たな段階を迎えた。一緒に選手権に参加した仲間たちとともに「SUITENETWORK」という会社を設立したのだ。始まりは、月に一回のスイーツを愛する者同士の集まり、そこでは毎回研究と討論のテーマを定め、進行されていた。例えば、今回のテーマがプリンだとすると、それぞれの者がいろんな店でプリンを買い、持ち寄って味見し、感想を述べる。最後にそれぞれについて点数による評価をするというふうに。そのうちにスイーツを生産する食品会社、及びマーケットリサーチの会社等が、彼女たちに注目するようになり、企画の仕事までが舞い込んでくるようになったのだった。
現在日本のスイーツ市場は留まることなく成長を続けている。数多くの専門店が次から次へと東京の至る所に出現している。その種類も更に細分化し、スイーツはそれぞれにそのスタイルを追求、和洋菓子の結合や、日本各地から取り寄せた限定された材料によるもの等、日本のスイーツ業界は更なる多元化に向かっている。
このような情勢も坪井に味方し、彼女は充分に自分の持ち味を発揮する場を得ることができたのだった。旅行が大好きな彼女、最近では日本で知り合ったドイツとフランスのハーフの男性と結婚、ドイツでの生活をスタートさせた。このことも彼女にとってヨーロッパのスイーツの文化を知る絶好の機会となったのだった。最も忘れがたい旅行はフランスの田舎で塩分を含んだバターとカラメルでできたスイーツを味わった時だ、と彼女は言う。その塩味がスイーツの味わいに深みを与え、彼女が大好きなカラメルとよく合った。
数多くの雑誌、テレビ等でスイーツ評論や取材を行う坪井、旅行中に出会った新しい味、彼女はそれをひとつひとつ記録し、専門家の視点から日本に紹介するのだった。
坪井は最後にこう語った。「TVチャンピオンで最後に必ず聞く問題、スイーツはあなたにとって何ですか。私はこう答えたい。スイーツは私の人生をまるっきり別なものに変えてしまった。自分は本当に本当に幸せ。幸運にも、今も自分が一番好きなことを仕事にしている。私の今の一番の夢は、世界各地に旅行して、その地の美味しいものをいっぱいいっぱい食べること。そして、その美味しいものの情報を日本に伝えたいっていうことです」
坪井ユミコ プロフィール |
|
1970年10月18日生まれ 天秤座
TVチャンピオンの第7回、第8回及び第13回の甘味王選手権において優勝
最も好きな食べ物: カレーライス
最も好きなスイーツ: プリン、豆花
今最も行きたい国: 台湾に行ってマンゴーかき氷を食べたい |
|